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Pick Up:法学部 教員

法律学科 宇都 義和 准教授 (法社会学)

宇都 義和 准教授 (法社会学)

まず、あなたに質問します。「法律は守らなければならないものだと思いますか」

法律が国民の代表たる国会議員の採決を経て成立することを踏まえれば、多くの方は「守らなければならない」と答えるでしょう。では、その答えは以下の講義を聞いても何ら変わらないでしょうか。

これからお話しするのは、今から40年近く前に起こった殺人事件とその裁判の結果です。当時、東京都内の小学校に勤務していた女性教諭Aさん(20代)が同じ小学校の学校警備主事男性B(40代)に殺害されました。その遺体はBの自宅の床下に埋められ、Aさんが失踪したのか殺害されたのか誰も分からないままに、長い年月が経過したのです。その後Bは自宅が区画整理事業の対象となり、遺体発覚を逃れることができなくなった為、事件発生から26年後に警察へ自首しました。

この事件では、Bに刑事裁判で刑罰を科そうとしても、裁判で罪を問うためのタイムリミットである公訴時効(殺人を犯してから25年)が成立しており、刑事上の罪を問うことはできませんでした(後にこの公訴時効は改正されました)。そこで、Aの両親はBに対して民事訴訟を提起し、殺害されたAの生命の侵害に対する損害賠償請求を求めました。しかし、ここでも時効の壁(民法上は事件発生から20年)が立ちはだかり、第一審の地方裁判所ではその請求は認められませんでした。法律を忠実に守ると、このような結果となるのです。

しかし、裁判はこれで終わりではありません。刑事上の罪を問うことはできませんでしたが、民事裁判では高等裁判所が請求を認めたのです。その理由は、時効完成前に遺族は訴訟を提起していないが、提起できない状況を作り出したのは殺人を犯したBである。こうした事情がありながらそのBが損害賠償の責任を免れることは、「著しく正義・公正の理念に反する」というものでした。そして、高等裁判所は本来適用すべき規定を使わず、別な方法を用いて、遺族の損害賠償請求を認めました。こうして判決が血の通ったものとなったのです。

法律家や法学者は、本来救済されるべき者を救うために、事件の性質や社会情勢の変化などを踏まえて、法律の規定に新たな解釈を加えたり、法律では対応できない事について、別な対処を考えるなどして、妥当な判断を導き出そうと考えます。そして、その方法を学ぶのが法学です。

最初の問いの答えをもう一度考えてください。あなたが最初よりも、考え、悩み、返答に時間を要したのなら、「法学の複雑さとその使命」の一端を理解してもらうという私の講義の目的が、これで達成されたことになります。法学の世界へようこそ。


法ビジネス学科 井上 隆 教授 (税法・会計学)

井上 隆 教授 (税法・会計学)

皆さんは、簿記、会計学、税法が、実は相互に密接な関係にあることをご存知でしょうか?

簿記は、「実学」(社会生活に実際に役立つ学問)に属する科目です。講義では企業の経済活動を勘定科目と金額により映し出し、最終的に、財務諸表(損益計算書や貸借対照表)を作成し、企業の経済的実態を利害関係者に報告するまでの過程を学びます。簿記を学ぶことで、皆さんが大学を卒業後、民間企業等の営業部門や経理部門等に配属された際、売掛金、買掛金ならびに貸倒れの処理等を理解することで、仕事をよりスムーズにマスターすることができるでしょう。また、企業家としてビジネスを始めるにしても、そのビジネスが利益を出しているのか損失を出しているのかを知るうえでも必要なスキルです。

会計は、ビジネス社会における「生きた言語」と例えられる程、経済活動に関わりを有する全ての人々の必須のコミュニケーション・ツールとして、極めて重要な社会的役割を果たしています。企業等に就職し様々な部署を経験した後、管理職以上の役職に就くとマネジメント(経営・管理)の仕事を経験することになりますが、そこで役立つのは会計学の知識です。講義では、損益計算書や貸借対照表における各項目の会計処理を全般的に理解し、会計手続きの最終段階である財務諸表の内容を理解できるよう指導します。

税法も「実学」に属する科目です。税金には国税と地方税がありますが、国税のうち法人税、所得税、消費税の3税で全租税収入の80%以上を占めることから「基本3税」と呼ばれています。中でも法人税は、企業が作成した損益計算書から算出される最終利益である当期純利益を基に、税法固有の調整(加算・減算)を行うことで課税される所得を導き出し、それに税率を掛けて納付税額を算出します。これを「確定決算基準」と言い、「内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から2か月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき当該事業年度の課税標準である所得の金額および法人税額等を記載した確定申告書を提出しなければならない(法人税法第74条)」とされています。

このように、簿記、会計学、税法(法人税法)は、一見それぞれが独立した学問領域のようですが、簿記・会計学の知識がやがて税額の算出まで繋がっていることを少しは実感して頂けたのではないかと思います。

志學館大学で簿記、会計学、税法を学ぶことで、是非、自分自身の将来像を広げてみてください。


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