2020年03月19日 インフォメーション
令和2年3月19日(木)、卒業生・修了生へ卒業証書・修了証を交付しました。
卒業生・修了生のみなさん、卒業おめでとう。志學館大学で学ばれたみなさんを送り出すにあたり、本来であれば卒業式・修了式を行い、喜びを共にすべき時ですが、新型感染症の拡大のため、中止せざるを得なくなったこと、申し訳なく思っています。 卒業式を行って送り出したいという大学の想いと大学の社会的責任を勘案せざるを得ない今回の事態の中で、このような決断をせざるを得なかった点をご理解頂きたいことを、ご家族のみなさまにも伝えて頂ければ幸いです。 みなさんの卒業にあたり、一言私からのメッセージを贈りたいと思います。 すでにホームページで公表しているように、本学では来年度から、「持続可能な開発のための教育プログラム」略称ESDプログラムを開講します。近年注目されているSDGs(持続可能な開発の目標)と軌を一にするものです。「持続可能な開発」とは、1992年に開催された「環境と開発に関するリオ宣言」の中で提唱され始めた考え方です。それまでの、地球の資源や環境の破壊・枯渇を招いてしまうような開発から、次世代に繋げていけるような発想に転換して行こうとしたものです。 SDGsの17個の目標の中にある「すべての人に健康と福祉を」の下に、行動計画として「伝染病の根絶と感染症への対処」が挙げられています。いま世界がこれに取り組んでいる中で、今回の新型ウィルス感染が発生したわけです。 人間の病気ではありませんが、動物を扱う分野でも、越境性疾病という現象が持つリスクが注目されてきました。鳥インフルエンザ、口蹄疫、アフリカ豚コレラなど、世界的な蔓延を示す動物病が例です。これらも、国境を越えた感染の拡大により、生態系の劣化や食糧供給への脅威となる危険性があります。 ESDプログラムの開講により、こういった脅威を学生諸君に伝えようとしていた矢先の今回の感染拡大は、本当に残念でなりません。 先ほど記した「リオ宣言」の中では、Precautionary approach(予防的措置と訳されます)という考え方が、示されています。予防的措置とは、「確実な科学的証拠が欠けていることが、対策を延期する理由とされてはならない」と説明されています。新型ウィルス感染の拡大は、まさしくこの考えが生かされるべきケースです。しかし、科学的に確実な根拠がない中での判断・決断は易しいことではありません。 危機に際し、基礎的な情報や科学的証拠が不十分な中で、安全という科学的な概念と安心という社会的な概念の両者のバランスを追求して決断するのは、実は極めて難しいものです。それができるようになるためには、日頃から自ら学び考え続けていく習慣を身に付けるしかありません。 志學館学園の建学の精神「時代に即応した、堅実にして有為な人間の育成」の中の「堅実にして有為な人間」とは、まさしくこうした能力とバランスを備えた人間像なのだと思います。大学卒業後も自ら学び続け考え続けることを忘れないでください。 みなさんの旅立ちにあたって、みなさんの幸い多く健やかな未来を願っています。
令和二年三月十九日 志學館大学学長 松岡達郎
本日志學館大学を卒業された皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、保護者並びに関係者の皆様には、さぞかしお慶びのことと心からお祝い申し上げます。本学で学ばれる中で、多くの困難を乗り越えて努力研鑚され、所期の目的を達成して修士あるいは学士という学位を手にされたご努力に、衷心より敬意を表します。 在学中温かいご支援を賜りましたご家族並びに関係者の皆様に対しましても、あらためて厚く御礼申し上げます。お子様の生活面での支援のみならず、後援会活動等を通じ、物心両面にわたり志學館大学をお支えいただきましたこと、心より感謝申し上げます。 学校法人志學館学園は、創設者満田ユイ先生のみおしえ「雪のごとく清らかに 月のごとく明らけく 花のごとく撫子の 強く優しく」と、建学の精神「時代に即応した堅実にして有為な人間の育成」を礎に、社会に役立つ人材の育成と人間教育を軸に、百十二年の歴史を刻んでまいりました。その中でこの志學館大学は、小規模な大学である特徴を生かして、学生一人ひとりを大切に、個性を尊重し長所を伸ばせるような教育をめざし、教職員一同熱心に取り組み、今では鹿児島県においても地元に有為な人材を輩出し、経済界の皆様方からも高い評価をいただいております。今年度は創立四十周年を迎え、地域に根差した確かな教育を展開し続けています。本学を卒業される皆様も、その礎を築き上げてくださった同窓生の一員となることを自覚するとともに、社会に羽ばたき、より一層活躍していただきたいと思います。 現代のSociety5.0といわれる社会では、今後は単純作業はAIが担うことになり、人間は企画力、創造力、リーダーシップといった能力を発揮していかなければならないといわれています。しかし、こういった厳しい時代を生き抜くための基礎となる力は、本学の個性・実践・人間力のスローガンに集約される各学部・学科の教育目的・そして学習成果の達成によって、できあがっているはずです。是非これからもより一層の視野を広げ、信念を培い、自己研鑽を積まれ、地域社会に輝く人材となってください。そして、どのような苦難が待ち受けようとも、たじろがず、退かず、夢と勇気を持って前に進んでください。私共は、いつも皆さんのご活躍を期待し、応援しております。 皆さんが思い思いの夢を実現させ、健康で心豊かな人生を送られ、社会を牽引する人材となれますよう、そしてなにより、皆さん自身が、幸せな人生を送られるよう祈念し、告辞といたします。
令和二年三月十九日 学校法人志學館学園 理事長 志賀啓一