学部・大学院

カリキュラム

心理臨床学研究科のカリキュラム

 現場に役立つ高度専門職業人の養成という観点から、医療・福祉・教育等の各領域における心理士としての職務に十分耐えうる知識と技能の習得とともに、それぞれの領域を超えてさまざまな心の問題に適切に対応できるように、臨床学を学ぶ者にとって共通に必要な基礎科目、その基盤となる臨床心理学関連科目及び各現場の要請に応える応用的科目並びに実践的な科目でカリキュラムを編成しています。

臨床心理基礎科目群
(基礎的学習領域)
臨床心理関連科目群
(関連する学習領域)
臨床心理応用科目群
(応用的学習領域)
臨床心理実践科目群
(実践的学習領域)
臨床心理学特論 I・II 心理学研究法特論 健康心理学特論 臨床心理基礎実習
臨床心理面接特論 I・II 心理統計法特論 精神医学特論 臨床心理実習 I・II
臨床心理査定演習I・II 発達心理学特論 心身医学特論  
心理療法特論 学習心理学特論 高齢者臨床心理学特論 研究指導
行動療法特論 社会心理学特論 社会病理学特論  
力動的心理療法特論 家族心理学特論 学校臨床心理学特論  
投映法特論 犯罪心理学特論 産業組織心理学特論  
  教育心理学特論    
  障害者(児)心理学特論    

講義科目一覧および概要

大学院科目講義内容
臨床心理学特論I
本特論においては、精神分析、行動療法、来談者中心療法等の伝統的心理療法を第一世代から第二世代を経て第三世代へと発展するシステム論に位置づけて論ずる。それとの対比において、心理サイバネティクス及びシステム論を基礎理論として、クライエントとその家族が抱えている悩みや問題行動の多くが関係性の問題であることに焦点を当てた学習を行う。ここでは、ダブル・バインドや逆説的コミュニケーション、自己言及性等が中心的概念として講じられる。
臨床心理学特論II
心理臨床家として、クライエントにとって効果的な援助を行うために、さまざまな職種や機関について学ぶ。システムズアプローチの観点から職種や機関の特性をアセスメントし、クライエントにかかわる職種の違いや機関の違いによる目的や役割の違いをメタレベルで理解する。さらに組織間の協働のためにメタ・アセスメントの視点を応用することを学ぶ。
臨床心理面接特論I
本特論では、心理療法における理論や援助技法について体験的に学び、援助者としての基本的な態度や心構えを習得することを基本とする。フォーカシング・催眠・臨床動作法などの援助技法を用いてロールプレイを行い、適切な態度や援助の仕方、クライエントに起こってくる心理的な変化について理解を深める。
臨床心理面接特論II
本特論では、臨床心理面接の進め方や技法について、主に短期療法の理論や技法に基づき、例外の構成やゴール設定のプロセス、各種の質問技法など、実際の面接場面の進行と展開を想定した学習やロールプレイを行う。これにより問題志向から解決志向へというものの見方の転換を実践的に習得するとともに、臨床実践の基礎となる関係性の構築について、短期療法の技法や概念の視点に基づく体験的な理解を目指す。
臨床心理査定演習
本演習では、クライエントが示す問題の原因や仕組みを理解するための心理アセスメントの基礎的理論を学び、それらの諸技法を体験的に習得するとともに、得られた結果にもとづく治療計画の策定に至る過程を学習する。本演習は通年の授業であるので、ロールシャッハ・テストやWAIS-III等の病院や福祉現場でよく利用されるテストを集中的に身につけさせることを目指す。
臨床心理学研究法特論
臨床心理学における研究に臨む態度としては、研究者自身が、個別的な臨床実践と共有可能な実証的側面とを織り合わせる視点を獲得することが強く求められる。本特論ではそのために、心理的な視点に基づき習得した方法論を臨床心理学のスタイルに適用する際の課題や倫理について学ぶ。さらに、これらの学習を基礎に、研究課題についての発表やディスカッションを行い、研究遂行能力の習得を目指す。
心理療法特論
本特論では、集団精神療法の一つである心理劇を、将来、精神科領域、教育・矯正領域、あるいは福祉やセルフヘルプグループ等の臨床場面で活用可能になることを目的に、基礎理論の習得と具体的な技法を、主に演習を通して体験学習する。
行動療法特論
人間を科学の立場から理解するため観察可能な人間の行動(行動、言語、思考、内臓機能など)へ焦点を当てアプローチするのが行動療法である。まず、行動療法の(学習)理論や技法について理解を深めさせていく。ついで日常生活における適応行動の形成と誤った不適切な行動の修正法などについて学習させる。また、行動医学的観点から具体的な例として、神経性食欲不振症その他の心身症を取り上げ、オペラント条件づけ等の行動療法について講ずる。
投映法特論
TAT(Thematic Apperception Test)を中心にいくつかの投映法をとりあげて、その基本的な理解から施行方法、分析・解釈の仕方について学ぶ。
心理学研究法特論
本特論では、実際の具体的な研究例をとりあげ、その中のデータ収集の論理として実験計画のみならず倫理的配慮の側面についても踏み込んでディスカッションする。また、そこで報告されているデータの質にも言及し、近年さまざまな臨床分野において提唱されているエビデンス・ベースの視点を臨床心理学を専攻する学生にも身につけさせたい。
発達心理学特論
昨今の社会の急激な変化(自然及び生活環境の悪化、家庭機能の不全化など)によって、人の人格発達の過程は大きな影響を受け揺らいでいる。幼児虐待、不登校から引きこもりへ、青少年の病的な犯罪、中高年の自殺や危機などといった現象は、その背景にある発達的問題の解明と解決を迫っており、その要請に貢献できる研究分野として生涯発達(life-spandevelopment)心理学がある。本講義では、生涯発達の各段階のテーマと臨床的問題について学ぶ。
神経心理学特論
大脳の障害によっておこる各種の高次脳機能障害について、概要を踏まえた上で、具体的な神経心理検査の実施方法・集計方法・解釈・報告書の書き方を学ぶ。
学習心理学特論
本特論では、学習心理学(行動分析学)の分野において蓄積されてきた知見についてエソロジーあるいは生態学の視点からとらえ直していくことを試みる。具体的には、題材として古典的な動物実験から近年のヒトを対象にした行動研究までをとりあげ、そこで議論となっている行動の法則を生物学における概念とも重ね合わせて考えながらその一般性について再確認していく。また、行動理論の残された課題としての個体差、発達、および種特異性の問題についても考えていきたい。
社会心理学特論
本特論では、集団における相互影響過程について、特に他者の存在とパフォーマンス、集団凝集性、集団の意思決定の過程とその効果を実験社会心理学的側面から論じる。その他、リーダーシップP−M行動の集団力学的効果、及び社会的行動の基盤をなす社会的認知研究におけるいくつかのトピック(自己・他者認知、集団間認知とステレオタイプ・偏見、集団の問題解決・意思決定・情報処理、原因帰属等)とその方法論について取り上げ、概説する。
家族心理学特論
現代家族が直面している諸問題について家族ライフスタイルにそって考察する。そのうえで、不登校の子どものいる家族に対する力動的精神療法、心理教育的アプローチ、システムズアプローチに基づく援助法の実際について学ぶ。また、家族療法による事例に関する論文を通して、家族の抱える状況や解決法についてシステム論的な視点から理解を深める。
犯罪心理学特論
本特論では、犯罪心理学や犯罪学、被害者学に関する基礎知識を学び、犯罪、非行の原因や対策について考える機会を与える。事例研究としては司法精神鑑定における事例などを呈示し、また、最近の犯罪傾向、すなわちわが国における犯罪、非行の統計的な動向を概観し、犯罪心理学的、犯罪学的諸問題や課題について学習する。さらに、プロファイリング(人物像割り出し、犯人像推定)や犯罪被害者の心理、当該被害者に対する救済・援助に関しても言及し、司法、矯正施設関係者あるいは教師等に要する犯罪心理学的な知識の習得を目指す。
教育心理学特論
複雑な現代社会を生きる子どもたちを巡って生じる様々な課題を取り上げ、主として臨床心理学的な視点から検討する。
    
臨床心理関連行政論
心理臨床の対象とする諸問題は、クライエントに対する診断・治療・教育・訓練・収容(措置)処遇などの直接的対応の他に、時として公的諸機関の扶助の援用斡旋など、広く多岐にわたる援助が必要である。ここでは、近年、特に従来の治療者との1対1関係の中での治療パラダイムでは対応が難しい危機介入的問題(災害・犯罪被害・虐待など)に求められる近接領域とのネットワークを含めた治療パラダイムについて論じる。
心身医学特論
21世紀は心とからだの調和の乱れによる機能性疾患やストレス絡みの生活習慣病などが主流になってくる。このような動向に対応するため、心身相関について生物学、心理学、社会学の側面から学習させる。また健康、疾病をからだだけでなく心理、行動、社会因子を含めた統合的視点から病態のメカニズムを学習させ、健康増進や疾病予防さらに治療などについて考えを深めさせる。具体的には主なる心身症の症例を上げながら、心理テストなどを用いた診断やケアの方法、さらにストレス対処法、治療法について学ぶ。
精神医学特論
心理的・精神的変調をきたしている患者さんに治療的接近をはかる場合、その原因が『心理的要因なのか』、『精神疾患による症状ではないか』、『身体の何か器質的な問題が隠されていないか』、を鑑別する視点を持たなくてはならない。なぜならばそれぞれの治療は全く異なるからである。本特論は、精神疾患という病気の理解および身体疾患や薬物が引き起こす心理・精神変調を理解し、臨床心理士としてどのようなアプローチが良いかの修得を目指す。
高齢者臨床心理学特論
老年期の発達課題、加齢・老化に伴う認知機能、パーソナリティ側面における心理的影響について、老年社会科学、老年精神医学、神経心理学領域の文献を精読し理解を深める。さらに、高齢者の医療・福祉領域で施行されている心理アセスメント、心理療法、カウンセリングの実際と必要な知識・技術を習得する。本特論は、これらの学習を通じて、高齢者福祉の現場に通用する能力を習得させることを目的としている。
コミュニティ心理学特論
人々の生活と活動の場であるコミュニティは、個々のコミュニティ構造のありように規定されて、問題を抱える人々や家族における問題増幅の場にもなれば、問題解決の契機や政策的対応を見出す場ともなりうる。この科目では、問題解決指向に立って、人々や家族における問題現象とその背後にあるコミュニティ状況の相互関係に着目して現実を捉える社会学的方法によって、コミュニティに問題解決の契機を探り働きかけていく視点を深める。
社会病理学特論
本特論では、社会問題として扱われる社会病理現象の実状とその解釈と制度的な対応の現状について、見識を深めることを目的とする。特に、一般社会、家庭、学校などでのコミュニケーション上の対人関係で生じる現象を中心に、制度上の方策・対処の効果およびその限界、理論的な病理現象の発生要因についての理解などを深める学習を行う。アプローチとしては、統制理論による問題の防止策ではなく、構成論的なソーシャル・ボンド論、ラべリング論などを援用して考察を深める。具体的な考察対象として、児童虐待や不登校問題、ホームレスの自立支援策の実状などを取り上げる。
学校臨床心理学特論
本特論の目的は、学校現場における児童生徒の様々な問題等に対する臨床心理学的な支援の方法を学ぶ事である。具体的には、不登校やいじめ等による心的外傷のケアの方法や事件事故等による学校コミュニティーへの緊急支援の方法、他職種・他機関との連携、特別支援教育への臨床心理学的な支援などの基礎理論について取り上げる。
グループアプローチ特論
本科目は、人間が「生きる」ということの出発点を個と他者の共有性というグループ・アプローチの視点から理解していくことを目標とする。特に、本科目では、グループ・アプローチの一方法論である音楽療法の視点から、「人間性の回復」ということをミュージック・セラピーの実践的活動を通して考察し理解していくことを目指す。
臨床心理基礎実習
本実習は、学内で院生相互のロールプレイ、プレイセラピーについての講義や臨床動作法・家族療法の体験、学内実習(心理相談センター/発達支援センター)のオリエンテーションを行う。ロールプレイでは、院生がクライエント役とセラピスト役を演じ、「語りを聴く/訊く」ことの意味を実践的に学ぶ。これらの体験を踏まえて試行カウンセリングを経験する。さらにグループ・スーパービジョンによって自己理解を深めるとともに、基本的な倫理観を養い援助職に就く上で求められる自覚を促す。
臨床心理実習
本実習は、学内の心理相談センターと発達支援センター及び学外の実習機関を利用して2年次に実施する。心理相談センターでは、心理アセスメント、心理相談への陪席、あるいは子どものプレイセラピーを担当することによって、面接の実体験を積ませる。発達支援センターでは、アセスメント、個別療育、集団療育を担当する。両センターのケースについては、毎週ケースカンファレンスを行う。学外実習は、医療・福祉・行政の実習機関における見学・研修、あるいは心のケアの実体験をさせる。学外実習は2、3人に分かれて実施する。いずれの場合も、実りある実習が実施できるように、教員の指導体制を整備し、十全なスーパービジョンに配慮する。
産業組織心理学特論
本特論では、産業組織心理学の基礎理論について解説するとともに、近年の専門誌論文を読み、新しい知見にも触れてもらう。そして、職場におけるメンタルヘルスの向上に、産業組織心理学の基礎理論をいかに援用できるか議論する。
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